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あなたが思っていることが大切よというアドバイスは時として無責任。

古代エジプトは自然崇拝であり、多神教の世界がそこには広がっていました。そして人をも含めたそこに広がる生命の全ては神々の恩恵であり、王であるファラオは人間の姿を有したいわゆる化身だと考えられ、彼もまた絶対的存在でした。
人々は自分の中にコンパスを持つ必要はなく。王だけがそれを持っていればよかった。
ニューヨーク メトロポリタン美術館

世間の会話を聞いていると、相談を受けた人が、「あなた自身がどう考えているかがとても重要よ、あなた自身の考えに従うべきだ」と答える人がいる。

だけど、これって相手を尊重しているようでいて責任放棄なのではないか。

分からないから相談してるんだし、だいたい人というのは自分で自分のことは分からないものなんだし。鏡を見なきゃ自分の姿は見えないもんだし。

物事を判断するには絶対的な物差しがいる。東に行きたい場合には北がどちらか分からなければならない。

前や後、右や左はわかる。自分の身体を中心にどちらが前だか後だか、右手の方が右だし、お茶碗を持つ手が左手よと昔から教えられてきたし、自分を中心にした判断は誰でもできちゃう。

だけど、東がどっちなのかは身体ではわからない。北がどちらかっていうことを自分で探すか、誰かに示してもらわないとわからない。北だと思って南だったりすると、思っていたのとは正反対の方向に歩いていっちゃう。

人は、多くの場合その北がどっちなのかを相談してるんだと思う。

自分の中にコンパスを持っている人はそう多くは無い。若くても持っている人は持ってるんだけど、多くの人が自分の中にまだコンパスは用意できていない。

「あなた自身がどう考えているかがとても重要よ」という方は、相手を尊重するとともに、相手に考える力をつけさせようとしているのだとも思う。

だけど、相談を受けちゃったら、それでは済まないんだよな。覚悟がいるね。

そうでない限りは、やはり責任放棄なんだと思う。