「諸君、狂いたまえ。」今日のアサカイで口をついて出てきた言葉です。どうして出てきたのかその時の状況があまり思い出せないんですけどきっと好きな言葉だから出てきたんでしょうけど、わりと歴史に興味のあるメンバーも吉田松陰は知っていてもこの言葉はご存じなかったのであえて投稿させていただきます。
言葉の主は吉田松陰です。もう歴史上の人ではありますが何の関係もない私でもヨシダショウインと呼び捨てにするのはどこか憚(はばか)られて、ショーイン先生とお呼びしたくなるような方に思えます。
彼は、そう幕末、長州藩に生まれた思想家でですが、「松下村塾」を開いて明治維新で活躍する多くの人物を育て上げた教育者でもあるので当然弟子たちからは先生、先生と呼ばれていたことでしょう。しかも単なる先生ではなく教え子たちに実践して見せるもんだから幕府としては放っておくわけにもいかず投獄された。そのまま大人しくしていればいいのに自分に正直な人、計算のできない人だから言わんでもいいことを言って、死罪。享年わずか30歳。
もうここらへんは幕末もので何度も出てくるシーンかと思います。
「諸君、狂いたまえ。」
これだけ取り出すと危ないことばです。だけど、その手前というかこの言葉の出典と思われるのは「松陰詩稿」その中に次のような一説があり、そこから後世の人が作り出した言葉のようです。一説にはNHK大河ドラマの脚本家ではないかともWEB検索しているときにありました。いかにもドラマっぽい言葉なのでそうかもしれませんね。
参考までに分かりやすく解説されていたページがあったので引用させていただきます。このページの作者が訳されたのかはたまたこの訳にもどこか出典があるのかちょっとそこまでは分かりませんでしたがとても分かりやすくかきくだいてくださってます。
狂 愚 誠 可 愛 狂愚こそ本当に愛すべきものであり
才 良 誠 可 虞 才良は実におそるべきことなのである
狂 常 鋭 進 取 狂は常に進取的で鋭く
愚 常 疎 避 趨 愚は常に逃げまとうことがない
才 多 機 変 士 それにひきかえ才人には変節者のでることが多く
良 多 郷 原 徒 良識者は八方美人の俗物が多いのだ
流 俗 多 顧 倒 時流と俗世には逆さまなことが多く
目 人 古 今 殊 昔も今を人を見るとしみじみそうだと思われる
才 良 非 才 良 才良はすこしもよいことではないし
狂 愚 豈 狂 愚 狂愚は決して愚かなことではないのである
超簡単にまとめると、妙に賢いやつよりはアホなヤツのほうがええよとショーイン先生は仰っているように思います。
これを調べているうちに吉田松陰は論語の影響を受けているので、論語の一説である次の一文から影響を受けたのではという記述もありました。
「子曰く、中行を得て之に与せずんば、必ずや狂狷か。狂者は進みて取り、狷者は為さざる所有るなり」
またまた、私の超意訳。
「そりゃね、君主が近くに置いとくんは何でもわかってて賢くてそれでもってどちらか一方に偏らない人物がええと思うよ。だけどそんなできすぎたやつなんて実際にはおらん。おらんのやったらそれに近い中途半端な人間よりかは、狂人ちょっと狂ったような奴がいいよ。アホなやつはまっすぐに進みよるからね。
それと狷者、こいつは気が弱いから悪い事はしよらんし近くに置いといても安心や。
こんな人間をそばにおいとき。極端かも知れんけどその極端な人間が真ん中のところに向かった時すごいことが起きるんや。」
私、思いますに今の社会では自分に正直に生きようとするとそれだけで周りからは狂気に見えると思うんですね。だから必要以上に皆さん周りに合わせようとしますね、そんな社会です。
でも、そんな社会に合わせるんじゃなくって周りからはちょっと変なやつ、アホなやつって思われても自分に忠実に生きようよって言ってるような気がします。
さららの姫、君のお陰で前々から気に入ってはいたもののいったいどこから来たのか疑問だったショーイン先生の「諸君、狂いたまえ。」に少し近づくことができました、おおきに。