以前私は、或る介護施設を訪問したときに、そこで働いている職員の方に、全く不躾を承知で、他人のおむつを替えたりするのは抵抗ないですかと聞いてみたことがあります。イイエ全然、何にも抵抗ないです、が彼女の答え。ま、外部の人間である私に対する答えとしては当然なのですが、その彼女が続けて、自分の親の介護もしなければならなくなった時に、それは父だったが、その父のおむつを替えるのには相当の抵抗があり、結局自分では看ることができずに施設にあずけましたよということを話してくれたのが印象的でした。
彼女と同じ立場であったならば多分私も同様だと思います。仕事であれば下の世話などなんてことはないでしょう。手を抜くことはなく、機械的な作業は慎み、しかしいかに素早く業務をこなすかというレベルで頑張るだろうと思います。しかし我が父であり、母であったならそこにどうしようもない情が湧き効率的な作業は難しくなってくるだろうなと想像します。
高齢化が進む現在、介護の重要性はますます増していくのでしょうが、その背後にはこんな家庭内の情のようなものと地域共同体の喪失があったりするのだろうなと思ったりします。
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