2022年1月、Blogタイトルを”三智に学ぶ”から”コーラルワークにしました。” ボタン

フランチャイズとは。

ダリア(Dahlia):花言葉は、”感謝”そしてもう一つが”裏切り”。
とっても良い意味ととっても悪い意味の二つを持っています。由来としては大きく分けて次のようなものから来ているようです。一つは、花の見た目、花の性質。そしてもう一つがこの花の辿った歴史のようなものからです。どこの誰かは分かりませんが、添えた花言葉が、なるほどなって人々を合点させながら、徐々に定着していったんでしょうね。
さて、「見た目」、このダリア実に優美で華麗ですよね。人はそのような優美なものを見ていると自分の心をそこに投影したりしないでしょうか。私はそこから花言葉の”感謝”が生まれたような気がします。
そして、もう一つの”裏切り”や”背信”は「歴史由来」です、だそうです。時は遡ることフランス革命のちょうどその頃皇帝ナポレオンの妻ジョセフィーヌが関係しています。彼女はバラをこよなく愛していましたが、ダリアをひと目見たとたんその美しさに心奪われます。
その花の元々の原産地はメキシコ、そこから大西洋を渡ってスペインへと輸入され、フランスへ。その華麗な姿はジョセフィーヌを初めとして、ヨーロッパ貴族の間に瞬く間に広がっていきます。しかし、その美しさは品種改良によってのものであり、その技術は秘密中の秘密でした。
しかし、ジョセフィーヌが自分が愛でるためだけに隠していたその技術が誰かの手によって持ち出され、他人の手に渡った。
怒ったジョセフィーヌはその人間に対して、よくも盗んだわねー、この”裏切りものー”と言ったとか言わなかったとか。
ジョセフィーヌという女性に対する世間の評判を考えるといかにも彼女らしい逸話ですね。
さて、誕生日、何かのお祝いにダリアをもらったあなたはどう思う?
感謝、それとも裏切り?
目次

とは何か。

ズとは、ごくごく簡単に言ってしまうと、「世の中に数ある経営手法の一つである」、と言えるでしょう。
事業を起こしそれを経営していく、そのやり方の一つです。

つまり、もし今あなたがフランチャイズに加盟して事業を行おうとしているのであれば、たとえどのようなに加盟するのだとしても、間違いなく、あなたは経営者なのです。
フランチャイズという経営手法を選択した一人の経営者ということになります。

その前に、経営とは何かを少しだけ。

では、ここで”フランチャイズとは”に入る前に、経営とは何か経営者とは何かについて少しだけ考えてみましょう。

長らく日本においては、”経営の神様”と言えば、パナソニック創業者の松下幸之助氏でした。他にもホンダの創業者本田宗一郎氏、ソニーの盛田昭夫氏などがそれに続きます。
今でも“経営の神様”と検索すると上記のどなたかが表示されるか思いますが、残念なことにいずれの方々も今は故人となられています。

そんな中、現代の経営の神様と言えば、京セラ名誉会長の氏を推す方が多いようです。あの、誰がやっても建て直すことができず、はじき返されたきた日本航空を経営破綻からV字回復させた経営手腕は誰の目にも鮮やかでした。

そんな稲盛氏は経営を飛行機の操縦や船での航海に例えています。
操縦桿や舵を握るのは、もちろんあなた。
経営者です。

飛行機は離陸の時が最も危険でよほどのベテランでも気を抜けないのがこの瞬間です。まさに起業においてもそうで、事業につまずくのはこの創業時が最も多いですよね。
そして無事離陸し、いったん安定飛行に入ったとしても新米機長は緊張の連続でしょう。先ず、目標をしっかり定めねばなりません。自分がどこに向かうのかの進路を明確にしなければなりません。
そして、それができたら、自分自身が指し示した目標に正しく向かっているのか、高度は安定しているのか、操縦桿の近くに表示される機器類が示す数値に意識を集中させないと、いつ墜落してしまうか分からないのです。
航海に出る船にしても同じです。
恐らく、最初は小さな小舟でしょう。
飛行機の操縦と同じように、目の前の計器を見ながら進路に間違いが無いか、燃料は足りているかなどを最初は乗組員もいないでしょうから、一人で全てやらなければならないでしょう。
初めての航海であれば、目の前の計器類が指し示す数字の意味がわからず、次の港に行くまでの燃料をどれだけ積み込めば良いのかも見当がつかないでしょう。
順調に見えた航海も、時に嵐に見舞われ方角を見失い、座礁の危険もあれば、燃料不足になり、漂流の危険性もあるかもしれません。
それら全てを自分で解決していくのがいわゆる起業になるわけです。

経営手法としてのフランチャイズ。

ここでフランチャイズとはなにかと言いますと、察しの良い方はもうお分かりですね。
フランチャイズを経営手法として選択した場合には、本部が計器類の見方を教えてくれま、燃料も提供してくれます。時には航海に適した船そのものを貸与してくれる場合もあります。
あなたがやるべきことは、注意深く計器類を眺めながら、舵を切っていくことです。
船の大きさや構造は本部が長年にわたって築き上げたブランドのようなものです。誰もが知っているブランドに乗れば、他の競合の船より速く走ることができます。
燃料補充のタイミングはチェーンのノウハウであり、それも本部が長年の経験で築き上げた絶妙のタイミングでしょう。
そして、複雑な計器類の見方や舵の取り方は本部が提供する研修によって比較的短時間に身につけることができます。

チェーンに加盟するということは、このように、稲盛氏が説くような経営のノウハウを手取り足取り氏に代わって教えてくれるようなものなのです。
優秀な本部に加盟すれば、優秀な経営コンサルタントを身に付けたようなものです。

そして、一人で起業することと、フランチャイズという経営手法を使って起業することと大きく違うのが、自分の船の周りには、仲間の船がいつも近くを伴走してくれているということです。
仲間は次の港の情報も、船の操り方も教えてくれるでしょう。時には座礁(経営不振)からの回復方法や競合の船の様子も教えてくれるかもしれません。
これは一人で起業していてはなかなか得られないものです。
そして、あなたより大きく、あなたよりスピードに溢れた船を操っている仲間は将来の目標にもなりますよね。

さて、これでフランチャイズという経営手法が少しイメージしていただけたのではないでしょうか。経営という大航海に向かうための、「船と仲間」を「ノウハウ」と共に提供してくれるのがフランチャイズシステムです。

では、次にこのフランチャイズという経営手法を使って、事業を進めることの意味を、フランチャイズでよく使われる用語を使って、フランチャイズを深掘りしていきましょう。

1.歴史、文化の面からのフランチャイズ。

本部と加盟店の関係は夫婦?親子?

では、経営手法の一つであるフランチャイズという仕組みを深掘りしていきましょう。
先ずは、フランチャイズ本部と加盟店という関係から、それぞれの役割分担を見ていくことで、整理していきます。
よく、フランチャイズに加盟することを双方の合意によって、末永く関係を築きあうということから、結婚に例えることがありますが、本部と加盟店の関係は夫婦的なものでしょうか。
それは誰の目からも違うことはわかるでしょう。
いわゆる夫婦のようなイーブンパートナーとなるのは、企業と企業の合併や提携のようなものですね。
フランチャイズの場合、本部と加盟店の出会いのきっかけは結婚に似ていますが、その後の関係としてはどちらかというと、同じ家族的な関係としては親子関係と呼べるのではと思います。または、体の器官に例えて、頭と手足という関係でとらえる捉え方もあります。
これはどこがどう違うのか後ほど解説します。

フランチャイズ本部の役割、加盟店の役割

先に経営とは、で述べさせて頂いたように、経営とは広い大海原を一隻の船で航海していくようなものです。
その時に必要となる機器類の情報が本部からのサポートになるわけです。
たとえばコンビニなどの場合には、全国のPOSレジから集まったデータを本部が集計し、地域や時間帯によっての適切な商品の仕入れと陳列を指示します。
加盟店は、それらのデータを見ながら、時に地元の人間ならではの勘を、そのデータの上に働かせ、適切な仕入れを行い、売れるための陳列を行います。
このコンビニという業態は、先に挙げた、頭と手足という典型的な関係のように見えます。本部は圧倒的に膨大で正確なデータを保有し分析し脳からの指示を全身に出しています。
加盟店は届いた指令を忠実にこなしています。
この時に、自分の考えや判断を余りに強く出してしまうと、全体の統一が取れなくなってしまいますから、そのようなマインドを持った方にはフランチャイズは不向きであると言えるでしょう。
では、加盟店は言われたことを忠実にこなすだけの存在であるかというとそうであるはずがありませんね。思い出してください、あくまで”経営者”なのですから。
経営者に求められている大事な要素の一つに人の管理があります。
これも港を出帆した船でたとえると、乗組員をマネージするのは船長の役割です。少し大きな船になるととても一人で操ることは難しく、乗組員の力を借りなければ次の港に航行するのは不可能でしょう。そこが頭の使いどころ、体の使いどころです。

仲間になるには”加盟金”

ほとんどのチェーンにおいて最初に求められるものが加盟金です。テリトリー使用権やブランド使用料、ノウハウの提供に先立って必要となるものです。
もともとフランチャイズという言葉は米国から日本に渡ってきているわけですが、英語ではフランチャイズ本部のことをフランチャイザー(Franchiser) 、フランチャイジー(Franchisee)と表記します。ちょっと英語に詳しい方であれば、語尾の違いに
気付かれることと思います。
語尾が-erで終わっているものは、-する人。
語尾が-eeで終わっているものは、-される人。
という意味ですね。ですから、他にも
trainer(トレイナー、トレイニングする人、教える人)
trainee(トレイニー、トレイニングを教えてもらう人)
employer(エンプロイーヤー、雇用する人、雇用主)
employee(エンプロイー、雇用される人、従業員)
です。
では、Franachiser、Franchiseeとはどういった関係でしょうか。
辞書で調べると直ぐに出てくるのですが、Franchiseとは、”特権”、”独占”、”占有権”と訳されますから、Franchiserは独占権、或いは独占権を有している者と訳せます。そして、Franchiserは独占されている人、ではなく、独占できる権利を与えられた人と
訳せます。
これは、直訳そのままですが、米国発祥のフランチャイズという仕組みをよくあらわした単語であると言えるでしょう。
つまり、フランチャイズに加盟するということは、本部が有するブランドやノウハウを或る一定地域において使用できる権利を与えられることになります。

未来を充実させるための”ロイヤリティ

先に、本部の役割として、データの収集と解析、それを元にした的確な指示があると述べました。それらは直接加盟店と関係するものですが、それ以外にも未来に備えた対応を本部は行っていかねばなりません。
”業態開発”と”業態のブラッシュアップ”です。
一つの業態が5年も10年も同じままで通用することはありません。常に細部に目を光らせ改善を続けなければなりませんし、時には大きな業態変更と呼べるようなことだってやっていかなければなりません。
もし、時代の変化に本部が対応することができなければ、その影響はチェーン全体に及んでいきます。
そして、それができるのがチェーンの力です。
一時期、ビッグデータという単語が巷間を賑わせていましたが、より多くのデータを持っているものが消費の動向を解析できるようになっています。
各加盟店はそのデータを間接的に利用しているということになりますが、その利用料やデータ(ノウハウ)を使いこなすための指導料とも言えるものがいわゆるロイヤリティです。
ロイヤリティは、定額の場合もあれば売上や利益に応じて支払うものなど様々ですが、安ければ良い、お得。高ければ悪いというものでないことは、ここまで読んで頂ければお分かり頂けたかと思います。

本部とあなたの間のホットライン”SV”

エス・ブイ、いわゆるスーパーバイザーと呼ばれる存在のことですが、彼らほど重要な存在はありません。
チェーンに加盟して経営を行う最も大きな目的は、その経営手法を学び、それを自らの経営に活かしていくことです。
まだスタートアップで小規模の本部であれば、本部社長がSVの役を兼ね、社長自身から経営ノウハウを学ぶこともできるでしょうが、多くの場合にはそのための専用スタッフが用意されています。
より売上を伸ばすにはどうするのか、この労務問題はどうやって解決するのか等々彼らを通じて学んでいくことになります。
逆に本部から見ると、チェーンの方向性や事業計画などを加盟店と共有していくために、それを伝えるための本部と加盟店をつなぐ重要な役割をもった存在となります。
最近ではネットの発達により、以前ほどには人が介在しての情報のやりとりは少なくなっているのではないでしょうか。それよりもメールやWebツールなどを活用して、本部からの情報がダイレクトに加盟店に伝わっていくようになっているようです。

俺も稼ぐから、お前ももっと稼げ

学生時代、切磋琢磨し合える友人を持った奴は社会人になってからも逞しく強かったとおもいませんか。
”ライバルが人を強くする。”スポーツにおいてもビジネスにおいても同様でしょう。
フランチャイズチェーンにはオーナー会と呼ばれるものが少なからずあります。オーナー同士の単なる親睦会というようなものもあれば、優秀なオーナーを本部が表彰し、一種の競争原理を持ち込んだような会もあります。
こういったオーナー会も個人での起業では縁がありません。
時には、本部が示すよりもより創造的な改善点や営業トークを編み出したりする加盟店がいたりしますから、彼らと切磋琢磨し合うことで個人起業では考えられないような業績アップも考えられます。フランチャイズ本部には、先にも述べましたように業態開発などという重要な役割もありますが、どれだけ優秀な加盟店を集めることができるかというリクルーター的役割も望まれます。
活発なオーナーが100人集まっているチェーンと不活発なオーナーが100人。
チェーンの実力はどちらが上でしょうか。

法人加盟

ここまでは、特に個人の方が起業するに際しての視点からフランチャイズを見てきましたが、法人の方が加盟を検討する場合、最も違うのは、経営手法という点についてです。
法人の場合には、既に航海をするための船は持っており、航海になれた乗組員もたくさんいます。そして多くの企業が企業理念や会社のミッションも持ち合わせています。
個人であれば、その事業が単独で儲かるか否かが大きな分かれ目になりますが、法人の場合には新たな事業が既存の事業にとってどれだけのプラスになるのかが最も大きなポイントになることでしょう。
例えば、”その業界が注目されているから”、”本部に対する世間の評判が良いから”、売上が見込めるから”といった視点だけで、自社の経営理念やビジョンとは関係なく加盟してしまうと、既存の事業との相乗効果が見込めないばかりか、会社全体としての業績は低迷しかねません。
法人の場合には理念の共有が何よりも重要。自社の経営理念に即して判断すべきだろうと思えます。

フランチャイズに加盟するのにどうしてお金が必要?

そもそもフランチャイズに加盟するのにどうしてお金が必要なんでしょうか。お金を払うということは何かを買っているわけですが、では何を買っているのでしょうか。
場合によっては本部に払う費用だけで、ン千万円を越えることだってあるわけです。
では、お金を払って何を買っているのでしょうか。
それは、経営手法とネットワーク(仲間)を買っています。
何のために買うのか、時間のためです。

2.と共にフランチャイズは始まった。

明治元年というと今から約150年前。その時のわが国にフランチャイズがあったかというと恐らく概念的にはなかったかと思います。そもそもその頃の外国語と言えばまだオランダ語だったでしょう。明治の初め、わが国は多くの技術や文化を西洋諸国から取り入れましたが、流通業界の仕組みやそれに伴う用語が輸入されるのは、やはり戦後になってからが大半です。

一般的にフランチャイズの歴史は、米国に始まると言われています。それが今から約150年前のこと、わが国で言えば明治元年の頃になります。
もっと早くフランスで始まったという説もありますが、その後の歴史や影響力の大きさを見ると、フランチャイズはやはり米国から始まったと言って良いと思います。
具体的には、1850年代にシンガーミシンが自社ブランドのミシンを販売するための販売特約店をフランチャイズ方式で広げていったのがその始まりとされています。
次に1900年代に入り、フォードモーターズ社が、あの有名なT型フォードを開発し、その販売手法としてフランチャイズシステムを導入しました。
フォードモーターズ社がフランチャイザーとして、自動車や自動車部品を扱うディーラーをフランチャイジーとして組織化していきました。
同じ1900年代初頭に全く別の別の業種でフランチャイズシステムを採用して販売を開始したのが同じ米国を代表するブランドと言っても良いコカコーラでした。
こちらは原液を供給するメーカーがフランチャイザー、そしてそれを各エリアでボトルに詰めて販売するボトラーと呼ばれる企業がちょうどフランチャイジーとしての役割を果たしました。
他にもこの頃、フランチャイズシステムを利用して、営業を展開した企業はあったでしょうが、知名度もあることでこのフォードモーターズ社とコカコーラが初期のフランチャイズシステムを説明する時にはよく引き合いに出されます。
この頃のフランチャイズシステムは、一般的に商標ライセンス型フランチャイズシステムと呼ばれるものですが、日本ではこのタイプはフランチャイズとは見なされていませんので注意が必要です。
日本では、フランチャイズと言った場合には、後に登場するビジネスフォーマット型フランチャイズのみを多くの場合対象として考えていますので、ここは注意しておいてください。

フランチャイズ上陸

さて、そうやって米国で生まれたフランチャイズシステムが日本に渡ってくるのは今から約60年前の1950年代後半のことでした。先に挙げたコカコーラの日本上陸です。
米国同様に、原液メーカーがフランチャイザー、ボトラーがフランチャイジーとして展開されていきましたが、それは米国同様に商標ライセンス型フランチャイズシステムでした。
その間米国では、現在の日本では一般的となっているビジネスフォーマット型フランチャイズシステムが開発され徐々に浸透していきました。
「ケンタッキー・フライド・チキン」、「マクドナルド」などがその代表です。フランチャイジーに対して、いわゆるフランチャイズシステムパッケージと呼ばれる、研修や継続的な指導、独自のノウハウなどをひとまとめにし提供することで、直営店とフランチャイズチェーンを外見上はほとんど見分けが付かないようなチェーンの仕組みが構築されていきました。
このようなシステムは「ビジネスフォーマット型フランチャイズ」と呼ばれ、日本ではこのタイプをフランチャイズチェーンと呼んでいて、一般的に商標ライセンス型は代理店ビジネスとして運用されています。
そうやって発展してきた米国フランチャイズの市場規模は150兆円と言われています。
日本の自動車産業の市場規模が60兆円、建設業市場が50兆円、外食市場が25兆円といわれていますから、米国におけるフランチャイズの市場規模の大きさが分かります。

ところが意外と大きい日本のフランチャイズ市場規模

日本でフランチャイズビジネスが開始されて、約60年が経過していますが、現在の市場規模は約23兆円になりました。一方の米国は150兆円と言われていますから、日本のフランチャイズ市場規模は米国の1/7程度ということになります。
日米の経済力という点で見ると、2014年の統計では、米国のGDP17.4兆ドルに対して日本は4.7兆ドルですから、経済規模では日本は米国の1/4でした。これだけ見ると、日本のフランチャイズ規模はあまり大したことはないと思えます。
が、しかし、先に申し上げましたように、日本の場合にはこの統計に商標ライセンス型を含んでいませんので、これを一律に比較することはできませんが、この数字だけを見ると日本のフランチャイズ市場はまだまだ発展の可能性が高いだろうと言えるでしょう。
また、この成長スピードは実際の統計数字にも表れていて、JFA(日本フランチャイズチェーン協会)の公表データを参考に計算してみると、1983年度から2013年度までの平均伸び率は売上高換算で6.6%になりますが、一方、この間の日本の名目の平均成長率は2.2%しかなかったのです。
この間、日本のGDPの伸びは極めて低調だったのですが、フランチャイズだけは大きく成長してきていったわけです。不況下においても日本のフランチャイズは着実に成長してきていたのです。

何が日本をフランチャイズ大国としたのか

では、なぜこのように日本では僅か60年弱の間にフランチャイズ市場が伸びていったのでしょうか。
それには二つの理由が考えられます。
一つには、日本にはフランチャイズシステムが導入される以前から、フランチャイズに似たようなシステムが存在していて、そのため、フランチャイズを展開するだけの下準備が日本人や日本市場に施されていたからではないかということです。
例えば、”のれんわけ”と言う言葉に代表される日本独特の経営手法です。
最近では、社員独立制度と呼んだりしますが、これはもともと日本では江戸時代より前から盛んに行われていたのれん分け制度に他なりません。
この”のれん分け”は、日本のフランチャイズついて話すときには外すことのできない制度です。
なぜなら、今でもこのシステムは日本のフランチャイズ企業の多くが採用していますし、日本人の商習慣に深く根付いているからです。
元々、飲食業において発展したものなので今でも飲食の業界において広く採用されています。
有名なところでは、カレーのココイチ、日本マクドナルド、餃子の王将など日本では大手のチェーンと言われるところは概ね採用しています。
こののれん分け制度は飲食業に多いと言いましたが、他にも、サービス業の分野では、技術的な伝承という意味をもった徒弟制度が日本のサービス業フランチャイズの元になっているようです。
ヨーロッパではドイツなどに今でも残るギルドに似たようなものです。
この制度は今でもある特殊な技術を要する業界においては重視されます。
これら二つの日本の伝統的な制度が色濃く残っているのが日本のフランチャイズの特長だと思われます。
いずれも家族的なつながりを基本に据えているという点でアメリカ的な投資型のフランチャイズとは一線を画すものです。
ココイチは世界最大のカレーチェーン(国内外で約1400店)としてギネスにも認定されているチェーンですが、そこがこののれん分け制度を採用しフランチャイズ展開しているのです。
もう一つの理由としては、江戸時代から続く日本人の教育水準の高さが上げられます。それを実現化させた学習意欲の高さです。江戸時代、の合戦も終わり、世の中が武士が戦い合う時代から文治の時代がやってくると、徳川幕府は各地に藩校を作らせ、或いは藩が独自に作り、藩士を強制的に通わせました。また、武士ではない庶民も寺子屋の発達により学問を修めるようになります。商家の子弟は読み書きだけでなく、商売には欠かせない算術もそこで習っています。
当時の日本人の識字率は80~90%程度。明治維新の後に日本を訪れた西洋からのお雇い外国人が普通の農村の日本人が論語を読んでいるのを見て仰天したという逸話が残っているぐらいです。
一方、フランチャイズシステムの核となるものは本部が長年に渡って蓄積したノウハウの開示と習得であり、そのノウハウや研修内容はほぼ文字化されたものです。皆さんも、とても分厚いマニュアルの類いはご覧いなったことがあると思います。一部は映像化されたりし、文字だけではありませんが、その元になっているのは活字です。日本人は江戸の昔から文字を通じて物事の道理を理解し、道徳を学び倫理感を身に付けていきました。
フランチャイズシステムにおいては、本部は本部がもつノウハウと共にチェーンが持つ経営理念も伝えていかねばなりませんが、その時に人一倍学んでいこうという態度が強いのが日本人の特徴ではないかと思います。もちろん諸外国の方がそうではないと言っているわけではありません。ただ、歴史的に見たこういった日本人の学習意欲の高さがフランチャイズをここまで成長させたと言っても良いのではないでしょうか。

ニッポンフランチャイズの特徴

では、いよいよ、そうやって発展してきた日本のフランチャイズの特徴に触れていきたいと思います。
先にも挙げましたように、日本のフランチャイズはのれん分けや徒弟制度を基本とし、そこに米国から渡ってきた独立や投資のツールとしてのフランチャイズシステムを組み合わせていきました。
その結果、できあがった日本のフランチャイズシステムは、分かりやすい言葉で言いますと、とても家族色の強いものになっていきました。
皆さんご存じのように、日本企業自体が欧米のそれと比べると極めて家族色の強いものとして知られています。
最近では、その特徴は失われつつありますが、日本企業の特徴を表す言葉として「三種の神器」があります。終身雇用制、企業別労働組合制と年功序列賃金体制です。これら三つを「神器」として表すのは、この制度によって日本が高度成長を遂げることができたと言われているからです。そして、この三つを足し合わせるとどうでしょうか。それは、企業ではなくまるで一つの家族のようですね。
そして、フランチャイズ本部も企業ですから、一方で家族であるわけです。
ここで、日本のフランチャイズの特徴を表すのに最適な例があります。それは、単語としてのフランチャイズなのですが、英語ではフランチャイズを開始するために人々は、”フランチャイズの権利を購入する”と表現します。しかし、日本においては違うのです。”フランチャイズに加盟する”と表現するのです。
これなども、日本人のフランチャイズ意識の特異性をとても表しているのではないでしょうか。フランチャイズを買うという場合には、そのパッケージを購入する、権利を購入し、後は自分で運営していくというニュアンスがあります。一方、加盟するという言葉には、何らかのメンバーの一員になるというニュアンスがないでしょうか。つまり、日本人にとってはフランチャイズに加盟するということは、その家族の一員となるということなのかもしれません。

3.正しいフランチャイズ

ここまでは、フランチャイズをその機能面から解説してきましたが、ここからは理念的な解説を試みてみます。
私たち、フランチャイズWEBリポート運営部では、フランチャイズを次のように独自に定義しています。

「フランチャイズとは、社会に活力を与え、人々の生活をより豊かにする経営手法の一つである。」

フランチャイズというものが、経営手法の一つであることには違いはないのですが、私たちフランチャイズWEBリポート運営部がその長い運営の経験から導き出した定義を理念的、観念的にまとめると上記のようになります。
では、どうして社会に活力を与えるのか、どうして人々の生活をより豊かにすると私たちは考えるのでしょうか。

正しいフランチャイズは社会に活力を与える

新しい産業が社会を発展に導き、その結果として社会に活力を与えるのは皆さんもよくご存じのはずです。
50年前、アマゾンもグーグルもFacebookもありませんでしたが、今や、それらは私たちの生活に欠かせないものになっています。
日本に限って言うと流通の分野では、スーパーマーケット、コンビニ、宅配便などはその時のベンチャーによって創り出されています。
新しい産業の多くは新しい起業家によって生みだされているのです。起業家精神が新しい産業、新しい世界を創り出していると言っても過言ではありません。
しかしながら、わが国日本の開業率は先進国中最低であることは皆さんもご存じの通りです。中小企業庁のデータによると欧米の10%に対して日本はわずか4%の開業率です。
これを何とかしようと歴代の政権も手を打ってきましたし、現安倍政権も「成長戦略」政策の柱として「産業の新陳代謝とベンチャーの加速」を打ち出しています。
しかし、こういった政策で開業率が欧米並みになっていくのはいささか難しいでしょう。それは、開業率の高さ、低さは、そういった制度よりも各民族のマインドに根ざしている部分が大きいと考えられるからです。牧畜型の欧米人と農耕型の日本人では開業に対する姿勢も違ってきます。
儲かる場所を求めて一人ででも家畜と一緒に移動していく牧畜型と、同じ場所でみんなでじっくり作物を育てる農耕型の違いです。
そういったマインドをもった日本人にとってはフランチャイズという経営手法で起業することはとてもフィットしているのではないでしょうか。学習意欲が高く、仲間と力を合わせて育て上げていく日本人にこれほど向いている経営手法はないのです。
起業というのは一種のロマンですから、ドラスチックな結果をもたらしてくれます。成功、失敗の両極端な二つをもたらしてくれるのですが、この起業が成功するか失敗するかという成功確率においても、フランチャイズが優れていることは、ここまでお読み頂いた方であればすぐに納得して頂けるでしょう。この失敗確率の低さも日本人には向いているのです。

正しいフランチャイズは人々の生活を豊かにする。

次に、人々の生活を豊かにするということに関してですが、それは時代によって少し違うようです。
先ず、フランチャイズがわが国にやってきたとき、その時には、”フランチャイズは文化を運んできた。”とも言えるかも知れません。
例えば、マクドナルドやケンタッキーなどのチェーンは、その頃の日本人にとっては、アメリカ文化の香り漂う食べ物でした。ハンバーガーを歩きながら食べることがイケナイことではないんだということを学びましたし、ダスキンのおサービスは、掃除をお金を払って人にやってもらうことが、なんて格好いいんだろうって、多くの日本人は無邪気な反応をしました。
もっと言うと、その当時は”フランチャイズビジネス”という言葉そのものが、アメリカから渡ってきたとても先進的な新しいビジネスというイメージで迎えられていました。
今でも、スターバックス(国内は元々直営で展開、国際契約は以前はフランチャイズ)などがアメリカ西海岸の文化を運んできたとも言えますが、現代においては、文化を運ぶほどの衝撃性をもって輸入されるフランチャイズはないようです。

それよりももっと社会に根を張りインフラ的な側面をもったフランチャイズへと場面は変わってきました。典型的なものがコンビニエンスストアです。既に国内では5万店を越え、私たちの生活には欠かせないもの、つまり社会インフラのような存在になっています。
コンビニ以外にも学習塾、不動産、100円ショップ、コインランドリー、各種飲食チェーンなどなど、もしもフランチャイズがないが故にそれらのショップが無かったとしたら、たちまち私たちの生活は困ってしまう存在になっています。
そういったインフラ化したチェーンは私たちの生活を底辺のところで支え、私たちの文化レベルを底上げする役割を担っているのです。
文化が高度化するというのは生活が多様化するということと同義です。少し前までは水と電気とガスが通っていることが文化的生活を送るための最低条件でしたが、現在はそれに加えてもっと多くのものを必要条件として私たちは生活しています。
不動産の案内で近くにコンビニがあるかどうかは必ず表記されるようになりました。早くて便利なファストフードは現代社会に欠かせませんし、学習塾は地域の教育水準引き上げに、施設は高齢化一方の日本社会にこれもまた欠かせない存在です。
フランチャイズは画一化されていて面白みに欠けるという意見もありますが、画一化されているからこそ価値があると言えますし、全国どこの家庭でも同じような上下水道があるから、インフラと呼べるのです。

では、そもそも正しいとは?

では、そもそも、”正しい”とはどういうことでしょうか。ここが定義されないと次へ進むことができませんね。”正しい”という言葉はとても抽象度が高いために、ほとんどの人に理解してもらうことができます。それは国や時代を越えてでも可能だと思います。しかし、一方で抽象度が高すぎるが故に、それぞれの人で理解が違っていますし、定義が困難です。そこで少し具体化してみましょう。正しいフランチャイズとはどういうもののことでしょうか。
私は、次のように考えています。
社会に対して公明正大であろうとする姿勢をもった本部が運営するフランチャイズ。
社員を大切に扱う本部が運営するフランチャイズ。
自分よりも他人を優先して考える利他の心を持ったトップや社員が運営するフランチャイズ。
こういったフランチャイズであれば、それは間違いなく、社会に活力を与え、社会を豊かにしていくでしょうし、その過程や結果において加盟店や加盟企業に利益をもたらすものになると考えます。
肝心のフランチャイズシステムやパッケージについての言及がないではないかと思われるかも知れませんが、その部分は時代や社会によって変わっていくものであり、正解はなく、弛(たゆ)まなく正解を求めようとする本部の人々の努力によって日々改善されていくものです。
そうであるが故に重要であるには違いありません。時代のトレンドを見誤ると、どんな優秀なシステムでも、パッケージでも後発に一気に追い抜かれ、その後塵を拝することになりかねません。フランチャイズはその身軽さが最大の信条ですから、次々とトレンドを追いかけた業態は現れてきます。
ですが、今言っているのは何が正しいかという企業姿勢の部分です。
いわゆる「不易流行」の後ろ二文字です。
時代が変わっても変わらぬ不易の部分を土台におき、弛まなく努力し改善を続ける本部だけが生き残り発展していきます。

私たちの事業理念

最後に繰り返しになりますが、フランチャイズには社会を効率化し、人々の生活を向上させ、その結果として人々に文化的享受をもたらすという機能があります。フランチャイズは社会資本の価値を高め、その結果として人々がより創造的で、より価値のある活動ができるように下支えする機能を有した経営手法です。
私たちは、フランチャイズという経営手法をこのようにとらえ、事業として取り組むに値する分野であると確信しています。ですから、私たちはそれを中核事業として据えるメディアDiv.の事業理念を「適切なマッチングの最大化」と定義しました。なぜならマッチングの機会を最大化することこそ社会貢献につながるからです。しかし、最大化だけではマイナスの社会貢献になってしまう危険性があります。あくまで適切でなければなりません。適切=正しいこと、だからです。
そうであれば、そこに従事する者、つまり当社であり私たちこそが社会の要請に従った正しい活動を行わねばならないのは論を俟(ま)ちません。私たちは常に心を正しい方向に向け、「適切なマッチングの最大化」に全社挙げて務めております。
今後、日本社会が起業家を求めようとすればフランチャイズはそれに確実にこたえていくでしょうし、日本人が文化的生活を求めようとすればするほど、フランチャイズもまたそれに応じて進化発展していくことでしょう。

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Comment

コメント一覧 (1件)

  • > 一般的にフランチャイズの歴史は、米国に始まると言われています。
    > …。
    > もっと早くフランスで始まったという説もありますが、…。

    それ以降、あまり考察はできていないのですが、franchiseという単語の語源が古フランス語であることは間違いないようです。辞書に当たると、古フランス語のFrancという単語からきているとか。それが古英語に伝わって、franchiseの元になったようです。
    ここで言う、古フランス語も古英語も元はと言えばゲルマン諸語の一つです。だから根っ子は同じ。
    では、古フランス語でFrancはどういう意味であったかというと”自由”とか”解放”とかって意味のようです。なぜかって言うと、フランク王国って名前はご存じのように今のヨーロッパの大元になったような国名ですね。今のフランス、ドイツ、イタリアとかの元になった国だけど、それはゲルマン民族が作った国だけど、中身はって言うと部族によって幾つかの国に分かれていた。その中でもっとも力のあったのがフランク族。そして彼らだけが唯一独立した存在であり、自由権利を有していた。だから、そこからフランクってのが、イングランドに渡ったときに自由って意味になったのでしょう、多分。
    恐らくそれはいわゆるノルマンコンクエストと言われるフランスの文化がイングランドに渡った頃のことかな。
    西暦で言うと11世紀頃。イングランドでは古英語が中英語に変わろうとしていた頃。
    だから、今でもフランクっていうのは、割と良い意味で使われてますよね。Talk FranklyとかHe is very frank.とか正直とか率直とかって言うプラスの意味で使われます。
    そういうこともあって歴史的にも、例えば、室町の頃に日本にやってきたイエズス会の宣教師の名前は、有名なフランシスコ・ザビエル。このフランシスコってのはザビエルが生まれた町の名前だそうなので恐らく自由な都市のような意味でしょうか。
    そして、凧を揚げて命がけの実験で雷が電気であることを照明したベンジャミン・フランクリン。つい先日亡くなったクイーン・オブ・ソウルとうたわれたアレサ・フランクリン。このフランクリンにはそういう匂いがしますね。
    地名で言うとサン・フランシスコなんかもそうでしょう。聖なる自由とでも訳すのでしょうか。
    そして、そして何と言っても、今のフランスっていう国名の元になったのがFrancですからね。これは偶然なのかどうなのか、フランス革命の時のスローガンは、”自由、平等、博愛”となっている。
    こうやって考えると、Franchiseって単語すごくないですか。ヨーロッパの人々がゲルマン民族大移動って言われる頃から持ち続けていて、フランスという国名にも使われていて。
    ぐっと時代を現代に戻して、今行われているフランチャイズという経営手法のどこが”自由”と関係あるんだろうと思われる向きもあるかも知れませんが、これはきっと義務との対になってるのだと思います。
    一定の義務を果たす、つまり加盟金やロイヤリティを支払うことで、その商売をする自由を与えられるという感覚でしょうか。それが新大陸アメリカに渡り開花し、そこから世界中に伝わっていっているのが今ではないでしょうか。

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