京品ホテルがついにオーナー側に明け渡されました。昨年末から、いつかその日がやってくると覚悟はしていましたが、テレビを通じて映しだされた落城の瞬間はあまりにあっけないものでした。
籠城のエネルギーも、抵抗の正当性も、あのリーマンがという感情に訴える部分に頼っていたので、多くの方々がこの日はあらかじめ覚悟していたというのも大きいでしょうね。
古き良きもの、懐かしきものが消えていくのはここだけじゃないですからね。品川駅高輪口から眺める京品ホテルは、駅前の風景としてはもう保存できる状態ではなかったようにも見えます。
エントランスをくぐり2階フロントから続く廊下の眺めは、後世の人たちに映像としては残せたけれど、当然だけど、そこまでですね。
間接照明の光に陰る壁からそこはかとなく漂ってくる歴史の臭い、長い時間をかけなければ決して醸し出すことのできない空気の澱みのようなものは、この建物とともに消えていき保存することも取り返すこともできないでしょうね。そして、その寂寥感からか多くの過去の宿泊者やここで長年働き青春を過ごしてきた方々は少し涙するんじゃないでしょうか、この僕のように。
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