言い訳と嘘と。

という社名のいわれは、マハヤーナ(大きな乗り物)というのサンスクリットから来ています。

数日前の、当社新人君との会話です。

「**君、君はの違いは分かりますか?」

彼、しばらく考えてから、

「嘘は、ばれてしまったら全てがなくなってしまう、言い訳はその点は大丈夫ということでしょうか。」

「めちゃくちゃ時間掛かったね。まー確かにそうだね。しかし、なくすとか失ってしまうということと関連させるんだね、なんだか君の今の心理を表してるね。君、何か失うとこわいものがあるの?」

「………。」

「ま、いいや、では、君は、この二つの行為でどちらかを選ぶとしたら、どちらを選ぶ?」

「言い訳です。」

「だと、思った。」

「さっきの君の態度もそうだったね。僕がなぜできなかったんだいと尋ねたことに対して、君は言い訳をして、それを僕は叱った。だけど、君は僕が叱った理由が分からない風だったね。当然だと思う。君は本当のことを言ったのだから。言い訳をしているつもりもなかっただろう。
君は頭が良いから、正当な理由を即座に思いつくよね。それはそれで素晴らしい才能や。だけどね、僕が尋ねたのはできなかったということに対する確認だけであって、その理由を述べてくださいとは言ってないんだよ。
だけど、君は聞いてもいない理由を滔々(とうとう)と述べ始めた。そのことに対して僕は叱りました。」

「………。」

「まだ、釈然としない風だね。」
では、僕の立場になってご覧。僕はその正当な理由を聞いてどう反応すれば良いんだろうか。
なるほど、それは仕方なかったねと同情すれば良いのだろうか。君は僕に同情してほしいの?」

「………。」

「そう、君はそんなの求めてないし、そんな男じゃないって分かってるよ。
だけどね、嘘と言い訳の違いはそこだよ。」

「言い訳は、知らず知らずのうちに自分を守っているだけなんや。自分か或いはその身内かな。とにかく自分というものを理由をつけて守るのが言い訳だよ。」

「嘘はね、ウソは嘘。君も言ったように真実ではない、存在しないものだよ。
だから、ウソはつくな、ウソは泥棒の始まりだなんていって、確かにこれはその通りだなって思わされることがよくあります。悪の道への転落は往々にして嘘から始まります。
それに、仕事で嘘なんてついちゃ絶対にダメだよ、それこそお客さんの信用を失ってしまって、君が言うように嘘によっては会社は全てを失います。」

「嘘も言い訳と同様に、何かを守っているよね。多くの場合自分ですわ。だけどね、嘘は時として、組織や社会、国を守ることだってあるよ。」

「前者を小嘘。後者は大嘘と言っていいかな。」

「君はまだ若い。
僕はね、君には、自分を守るだけの人間になってほしくないんだ。今は守るべき対象が自分しかないのかもしれない。だけど、今からは君が守ってあげなきゃいけない人できるんじゃないかな。愛する人、かけがえのない家族、この地球だってそうだろう。自分を守る、つまり言い訳をしている暇なんてないんだよ。」

「正当な理由があるのに、それを言わないというのはとても苦しいことだよね。だけど、だけどや。俺は、君は自分のことを中心に考える小さな男ではない、もっと大きなことを考えることができる人間になってくれるんやないかと思ってる。
うちの社名はDaiや大、いつか国や社会のために一世一代の大嘘を打てるような人間になってほしいんや。分かる?」

……。

「さ、仕事始まるよ、一日がんばろう!」

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