雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル 一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニ ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ 野原ノ松ノ林ノ䕃ノ 小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ 東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ 西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ 南ニ死ニサウナ人アレバ 行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ 北ニケンクヮヤソショウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイヒ ヒデリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ サウイフモノニ ワタシハナリタイ
”サウイフモノニ ワタシハナリタイ”
なれない、自分のような欲や見栄のかたまりのような者はとうていそんな人間にはなれない。
だけど、なりたいとは思う。少しでも近づければ良いとは思うがでくのぼうと呼ばれ褒められもしなければやがて気力はなくなっていくだろう・
”東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ
西ニツカレタ母アレバ 行ッテ
南ニ死ニサウナ人アレバ 行ッテ”
この時、賢治は病床に伏せていた。最愛の妹と同じ病に自分もおかされ動くことすら困難だったのかもしれない。
だからなのだろうか、行って、行って、行ってとうわごとのように同じ言葉が繰り返されている。行きたいけれど行けない自分の体への恨みだろうか。
今、私たちはコロナ下で完全テレワークの最中だ。会いたくても会えない。行きたいけど行けない。
でも、気持ちは、行って、行って、行ってなんだ。
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