お前がやったんだろう?

テレビの対談を見て、2人がこんなつながりがあるのかと思い本棚から取り出してきて並べてみた。

“今日ので木脇さんの好きな小倉さんの話がありますよ。“とメンバーの1人が教えてくれた。

宅急便を日本中に広めた、名経営者と言われるさんのことだとすぐに分かった。
早速、録画予約し週末に録りためた番組を見た。
すると、その番組に小倉さんを取り上げた番組ではあったが元厚労省の さんが出演されていた。
小倉さんも尊敬する経営者としてとても興味があるが、それ以上に村木厚子さんには教えられたことが多いので注目して見た。

番組を見終わった後、本棚からお二人の著書を取り出し並べて見ていた。
偶然だけど、本は隣同士に並んでいた。
パラパラめくってみても、お互いのお名前が出てくることは無いのだけど接点が福祉であることを考えると当然のようにお二人は交流があったのだと分かった。

小倉さんは社長業を退かれた後、いやその前から福祉に関心を持たれていたから厚労省には足しげく通っておられたのだろう。その時に村木さんが対応されることもあったのでしょう。

そして、その厚労省を舞台にこの事件は起きた。
今から10年少し前の2009年6月自称障害者団体「凛(りん)の会」に偽の障害者団体証明書を発行し、不正に郵便料金を安くダイレクトメールを発送させたとして村木さんの部下が逮捕され、自身も同年7月、大阪地方検察庁によって虚偽有印公文書作成・同行使罪で、大阪地方裁判所に起訴された。
翌年、2010年9月10日、大阪地裁が彼女に無罪の判決を言い渡すまで、世間は村木さんをクロだと考えていたように思う。
かくいう自分もその一人だった。
まったくの傍観者であり、 マスコミから流れてくる情報だけを頼りに勝手に彼女をクロだと思っていた。
多くの日本国民が、彼女が犯人だと決めつけていたように思う。そんな世論があったしそんな空気が漂っていた。全く恥ずかしい話だ。

そこには何があったのだろうと今でも思う。女性であそこまでのキャリアがあるのには何かがあるのではないかとか当初の少し高圧的だった彼女の映像、そういったものが、犯人に違いないと 思わせていたように思う。今思うと検察が作ったストーリーは、私たちがとても乗せられてしまうものだった。本当は動機すらよくわからないのにあたかもしっかりとした動機がそこにはあるように思えていた。

ご本人はとても辛い思いをされたに違いない。
この本の中では明るく語っておられるけども一年近くのその心情の辛さは察するに余りある。
しかし、 この事件を通じて人々はの怖さを改めて知ったし、言って見れば確たる証拠もないのに決めつけでその人をクロだと判断する人間の心理の怖さをしっかり学んだのではないだろうか。

「10人の犯罪者が野に放たれるよりも、1人の無罪者が牢に繋がれている社会の方が怖い」と誰か言ってたけど、全くその通りだ。

人は本当になぜかしら偏見がある。かくいう自分は特に偏見があるしその自分自身の偏見性が時として怖い。
しかしそんな私は会社を経営しており、人を見なければならない場面は日常的だ。
この事件から学んだというと次元が違いすぎて少しどうかなと思うが、人間というものを正当にジャッジするためには、その人を包んでいる年齢や性別などの属性や外見はできるだけ捨象し、その人のやってきたこと、やろうとしていることを真剣に見なければいけないのだと改めて思う。

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