パラリンピックが昨日閉会しました。
オリンピック招致が決まる前から、それはもう制度疲労を起こしているし今の日本に必要なのかと思った。
努力している関係者、前に向かって進んでいるアスリートがいることは分かるけれど全体の流れとしてこの国のあり方にとってオリンピックはもう意味のない存在と思えていた。
そんな雰囲気は世間にもあったと思う。ましてやこのコロナ禍だし。
だけど、パラリンピックは違ってた。大会が進むにつれて引き込まれる場面が多くなってきた。
頂点は昨夜の閉会式。
組み立てられて演出はされてるんだろうけど、それを時間と共に何かがぶち壊していってくれた。
圧巻は
セレモニーも終盤となり、明らかに指の数が少ないピアノ奏者の演奏が始まりそれは聞き覚えのあるメロディーだった。
スクリーンに歌詞と車椅子の姿の男性が映し出され、低く、太い、例の聞き覚えのあるダミ声が聞こえてきた。タイトルはすぐに”What a Wonderful World.この素晴らしい世界”と出てきたが、誰がうたっていたのか思い出せない。黒人の丸っこい顔と瞳は思い出すけど名前が出てこない。えっと、
レイチャールズ? ナッキンコール? 違う。
声は正にトム・ウェイツ、しかし、時代が違うもっと前だ。誰だ、誰だと思い出そうとしている間に画面はアップされ、声の主、車椅子に座る男性に惹きつけられた。低くて、太くて、うなっているみたいだけど、なぜか優しさを感じるこの声。
ルイ・アームストロングや!
思い出した。
目の前におる。震えたね。しかし、手にはトランペットはなく黒いグローブが唸りとともに宙をさしていた。
やがて、声はそのままに映像には大会のダイジェストが映し出された。
NHKやるね。良いカットをそろえてきた。アスリートの心を映し出すカットだらけだ。
閉会式に間に合わせるんだから編集にさく時間もあまりなかったろうに心で繋いでくれたのかな、感動を呼ぶシーンが思い返された。
ダイジェスト映像が終わると同時にボーカルは女性に移った。
参った。座っていたけど膝の力が抜けるのが分かった。なんだー、この澄んだ声は。
プロじゃない、プロの歌い手じゃない、それだけの技量はない歌い方。
彼女は目が不自由なのか茶色みがかったメガネをかけている。
男性のそれとは違い、声は細くなんだかそれ以上にか細い。
だけど、だけど、どうしようもなく胸があつくなり涙が出るのをこらえなきゃなんなかった。
午後10時近く東京2020パラリンピックの閉会式は終わった。
明治10年、今から約150年前、日本で最初の公立盲唖学校が開かれた場所から今日のアサカイは参加しました。
学校開校式典のその日は数日前から京都は雨が激しく何度も延期され、それでもこれ以上は延ばすことはできないと実施したその日の式典、京都中から3000人もの人が集まったそうです。明治のはじめも初め、そのころ目や耳の不自由な人たちに対する世間がどういう姿勢であったかは想像に難くない。そんな中3000人もの市民が集まったのだとか。
今日のアサカイ、昨日閉幕したパラリンピックと二重写しになる。
I see trees of green,
Red roses too.
I see them bloom,
For me and you.
And I think to myself,
What a wonderful world.
ほら この木漏れ日のみどり 深紅のばら
まるで オレたちのためにそこに咲いてくれてるみたいだ
なんて美しい世界なんだろう
オレ 生きててメッチャしあわせだよ
だって 世界はこんなにきれいやん
I hear babies cry,
I watch them grow,
They'll learn much more,
Than I'll ever know.
And I think to myself,
What a wonderful world.
Yes, I think to myself,
What a wonderful world.
ほら 赤ん坊の泣き声が聞こえる
そして見えるんだこの子たちの素晴らしい未来が
オレはつまんなかったけどさ この子たちはやがておとなになっていっぱい学んでくれるんだ
なんどでも言うよ
なんてなんて素晴らしい世界なんだろう
ワラワンダーフルワールド
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