テレワーク、なーんかちゃうねん。
私たちの働き方をコーラルワーク(Coral Work)と呼びたいと思います。
のっけからなんやねん、そんなもん勝手に呼べや、好きにせーやという声があちこちから聞こえてきそうそうですが、まぁ聞いてください。
これには深い深い深い深海まではいかずともそこそこの海の深さ水深50mぐらいの理由はあるのです。
今、私たちがやっている働き方って世間一般的には、「在宅勤務」「テレワーク」「リモートワーク」 と呼ばれるものです。どういった働き方かというと、いわゆる会社に出社せずに仕事をする働き方ですね。在宅だと家で仕事、テレワークもそうかな、リモートだと家とは限定せず近くのカフェやシェアオフィスとかも入るようなイメージ。
これらは全て働く場所のことです。そしてリモートと言うとなんとなく時間も会社の時間とは違いフレックスになってるようなそんな感じがします。しかしいずれにしてもこれらの単語は働き方そのものを表現してはいないのです。
ですから、オフィス勤務の代替手段あるいは、延長線上にあるものにしか過ぎないのです。
このことが、昨年の2月ぐらいからテレワークを始め、一年前の7月にテレワークを恒常的な働き方とすると宣言してから、ずっとモヤモヤしていた部分です。この名称で良いのか、私たちは”テレワーク”をしているのか?
自問自答の日々でした。
そして思いついたのが、ゴーストワークって名称でしたけどもこれは深い意味としてはとてもいいんですけど、 聞いた人はあんまり深いところまでは考えてくれないので、やめました。
ゴーストワークって、働くことがお化けであったら一生懸命やってんのになんだか働いてないみたいですもんね。賛同得られそうもないので一旦封印しました。
それでも 新しい名前、自分たちの働き方にふさわしい名前がないかとずっと探し続けていました。
沖縄はサンゴの島、いまさらだけど。
そんな時です。沖縄にいるメンバーと話していた時です。 彼はセールス職なので、やはり東京や都会にやってきてバリバリ営業しまくりたいって思いが強いのです。しかし私の思うところは理想かもしれないけども、家族と十分な時間が持てるそんな中で仕事をしていくべきだと考えているので彼のはやる気持ちをいつも抑えていました。
”沖縄ええとこやないか、なんたって周りがほぼ一年中泳げる海やろぅ、オレは一度も潜ったたことないけどきっとサンゴ礁の海とか広がってるんやないの?
俺さ、ずいぶんと昔、オーストラリアのグレートバリアリーフってとこ潜ったんやけどもうほんのちょっと潜っただけで目もくらむような美しさやったん覚えてるで。俺たちはさぁ、そーゆーサンゴ礁的な美しさを追求するような働き方していかなあかんのちゃうか?”なんてことを話してたんです。
彼と話した後、あれサンゴショウ、サンゴショウ、珊瑚礁かー。
Wikiしてみると。
沖縄の海は、やはりまさにサンゴ礁の海でした。
世界中の海には600~800種は生息すると考えられていますが、沖縄の海には、その約半数以上がすんでいるのだそうです。
これは、1つの場所としては世界最大であり、国内で見られる約400種類のサンゴのうち380種類以上が沖縄で確認されているようです。
400分の380って……。ほとんどやん
彼は、日々サンゴ礁に囲まれて仕事をしているとも言えるのです。
そう言えば、彼とWebミーティングしているとき、頭に赤い角を生やした方が彼の近くにいつもいらっしゃるような。目の錯覚かな?
次に、その生態について勉強したとき、より一層興味深いものが見えてきました。
サンゴはあんな見た目でも実は動物なんですよって社内で話すと恐らく半数ぐらいのメンバーが、えっそうなん?って小さい驚きを示すと思います。
イソギンチャクに近いなかまで、プランクトンをつかまえて食べたりするんだよって言うと子どものように目をキラキラ輝かせそうです。
続けて、しかも、サンゴは動物でありながら二酸化炭素を取り込み酸素を吐き出すんだよって言うと、メンバーの残り半数もエーっわししらなんだ、やっぱ社長ってすごいっすねとがらにもなくおべっか使ってくれるかもしれません。
しかし、実は私のサンゴに対する知識はここまででした。
それだけでもなんだかありがたい生き物だなぁということでしたけども、実際にはサンゴはやはり動物なので彼ら自身が酸素を吐き出しているわけではなく、体内で共生する藻類の「褐虫藻(かっちゅうそう)」 って生き物が光合成をおこなっていて、サンゴ自身もそれが作り出した栄養で生きているとか。
なーんだ、酸素出してんのはサンゴじゃなくて 褐虫藻じゃん、サンゴ全然たいしたことないやんと思うかもしれないけども、やはりサンゴはすごいんです。共生してるのは褐虫藻だけなんだけど、サンゴのおかげでその周りに生きている生物がなんと多いことか。
サンゴがいることの意味。
サンゴ礁は全海洋のたった0.2%を占めているに過ぎませんが、海洋生物の1/4~1/3がサンゴ礁に生息すると言われるほどなんです。つまり、サンゴ礁の海っていうのは、生物多様性の豊かな海域だってことですね。
サンゴ礁を見てみると気づきますけど、複雑な形をしてて複雑だけどなんだか雑っぽくて、隙間というか空間がいっぱいありますよね。
”雑で空間がいっぱい、すきまだらけ”
そこで頭抱えているあなた。そうそんなあなたの頭のようなそんな雑な空間をつくりだすサンゴ礁は海の小さな生き物にかっこうの隠れ場所を提供します。
さらにサンゴと共生している褐虫藻は光合成でそれらの小動物や魚類への餌資源となる有機物を生産します。
サンゴ礁に生息する小さな生き物を餌とする大きな魚やエビなどもサンゴ礁に集まるので、多様な生物群集が生まれるってわけです。
雑な頭と違って、雑なサンゴ礁はその存在に大きな意味があるわけです。
サンゴ礁は海の多様な生物の命を育む場として重要な役割を担っているのです。
そればかりか、サンゴ礁は海の生き物だけでなく、わたしたち人間の生活にも恩恵をもたらしています。
世界の海洋魚種の25%が生息するサンゴ礁は漁場として多様な水産物を提供しています、つまり食糧源となっているわけです。
さらに台風の高波を弱めるなどの天然の防波堤としての役割もあります。 大きな台風がやってきた時とか、サンゴ礁がある海はそれほどの被害を受けないとかってらしいです。
さらにさらに、先にあげたオーストラリアのグレートバリアリーフのように美しいサンゴ礁は観光資源となりその豊かな生態系は文化・環境教育の場にもなっています。
ここまで話すとメンバー達の小さなえっも、えーーーサンゴ凄いと変わっていることでしょう。
ほとんど雰囲気的には中学校の理科の授業です。
そして、ここからは社会の授業。
今、世界中で、海水温の上昇が原因と思われるサンゴの大規模な白化現象が起きています。
サンゴは年間を通じて平均水温が18℃以上の暖かい海に生息しているわけですが、サンゴは海水温が上昇したりすると褐虫藻が抜けてしまい白化してしまいます。褐虫藻は暑さに弱いのでサンゴを置いて出て行っちゃうんですね。そうすると共生することによって生きていたサンゴはたちまち窮してしまいます。こうした状態が短期間だとある程度は回復しますが、長く続くとサンゴは死んでしまいます。
サンゴはその存在が生態系に多様性をもたらし、自然環境を豊かにしているのに、自らもまた共生によってつまり多様性によって生きている存在なんですね。
そんなことから、出ましたSDGs!
社会人なら今からでも遅くない知っとけSDGs。中身は分からなくても名前だけは知っているぞSDGs。
全部で 17の私たちが解決しないなければならない問題、向き合わなければならない問題が掲げられていますがその中の第14番目「目標14 海の豊かさを守ろう」 がありますね。
サンゴ礁という海の資源からこの第14番目の課題に取り組んでいるプロジェクトが沖縄を中心に進んでいるようです。サンゴは、今から私たちが守るべき豊かさや美しさの象徴であり、 そのための多様性を考えさせてくれる存在だと言えるでしょう。
サンゴから見たテレワのメリット・デメリット
さて、ここで、コロナをキッカケとして政府が推進しているのになかなかその目標値は達成できていないテレワークと従来の会社出勤の違いについて考えてみましょう。
散々論じられているところですが、テレワのメリット、デメリット的なところでいうと、
先ずは、テレワの良いところ。
働いている人は可処分時間が増える。
人によっては往復2時間、3時間なんていう通勤時間がなくなるわけですから自分の時間を多く持てることはまちがいありません。これ最大のメリットでしょう。
会社は固定費が下がる。
通勤がなくなるわけですから、多くの企業では手当てとして出している通勤費はなくなりますし、事務所費等の固定費は当然のようになくなるか下がります。
環境負荷が下がる。
通勤の際の電車、車、オフィス内移動のエレベーター、社内の空調、照明。これらの資源エネルギー使用量は下がります。
このように、働いている人、会社、地球環境という3者はそれぞれに多大の利益を享受できるのです。
そして、人流の抑制。
新型コロナの今の時期だけとも言えますが、今はここが最も大きいとも言えます。
もう一度、会社と働く人との関係だけを見ていくと、いわゆる労働生産性が上がるはずです。
通勤時間、時には上司との飲みなどの付き合いも会社における拘束時間と考えるならば、テレワにおいてはこれは確実に減少するので、従来よりも少ない時間とエネルギーで同様の価値を生みだすことができたら、これはそれだけで労働生産性が上がったと言えます。
この労働生産性はOECD先進七ヶ国中、日本は万年最下位に甘んじてるとかっていうやつです。
日本人は働き過ぎ、働いている割に価値を産んでいないと揶揄され続けてます。見返しましょうよ、この評価。
一方、デメリットと言われるのは、
労務管理の難しさ。ここに尽きます。
本当に働いてるかどうかわからないから評価のしようがない。そのためテレワークでの評価はプロセスを見るのではなく結果を見るというふうにどうしてもなりがちです。 雇用形態も正規雇用から非正規雇用へとなりがちです。
しかしです。そもそもがです。
たとえ出社していたとしても、8時間机に座っていたとしても働いてるのかどうかなんてその人の頭の中を覗くわけにもいかないのでわからないわけです。 目の前のパソコンを食い入るように見て、真剣に考えている様子で、バシバシとキーボード叩いていても、頭の中は全然別のことってのはいくらでもあるわけで、そして別のことを考えている別のこととは何のことなのか、そしてそれがわかったとしてそのことが果たして悪いことなのかと。突き詰めて考えるとそうとも言えないと思うわけです。
つまり、管理しようなんていうのがそもそも間違ってるわけで、間違ってると思うとまでは言えないかもしれないけども、正しいのか? なわけです。
テレワークだから管理が難しいというのは、スタートが間違っていてそもそも管理なんてできるはずがないんです。
もうここまでくると、私が何を言いたいか分かっていただけるはずです。つまり、地球市民的働き方、自分だけではなく他者、環境を意識した働き方それをコーラルワーク(Coral Work)と呼びたいのです。そして私たちはそれに向かって走っているということです。ですから、今のテレワーク的な働き方は コーラルワーク(Coral Work)を実現するための手段にしか過ぎないのです。今のところ毎日会社に出社する働き方よりもテレワーク的な働き方の方がコーラルワーク(Coral Work)に近いので、私たちはテレワークによってそれを実践しているということになります。
2022/05/17 Coral episode1
今日のアサカイのことでした。ある女性メンバーから、こどもが通っている保育園でコロナの陽性者が出たために突然休園になってしまいました。それで、今日は子どもと一緒に仕事しーますという元気な連絡があった。
何気ないことですけど、 僕はこの受容力のようなものこそがコーラルワークの真髄ではないかと思っています。
このことはテレワークでなければ実現できません。会社への通勤であれば彼女は家でこどもみるので会社を休まざるを得ません。
では、テレワークであれば全て可能かというとそうとも言えないでしょう。実際お子さんを横に置いて仕事をするのは大変ですし、周りの協力がなければできません。
間違ってはいけないのは、テレワークだからこの受容力が生まれるわけではないということです。
受容力を高めていこうとした結果としてそこにテレワーク的な働き方があったということなのです。
なので、私たちの働き方は、テレワークでもリモートワークでも在宅勤務でもないのです、コーラルワークなのです。
2022/05/19 Coral episode2
コーラルワークの働き方の概念のようなものは上の本文に述べたようなことですが、では、そのフォーマットはどうなのかそれについても少しお話ししたいと思います。
例えばですけども、一般的な会社においては週のうち普通は5日間そして8時間会社に出社してそこで業務を営むことだろうと思います。営業の人とかで外に行く人もいるでしょうけども、会社に8時間いることにおいては変わらないでしょう。そして日本の平均では年間110日ぐらいが休日と厚労省のデータではそうなっているようです。私たちの会社は130日程度なので平均よりは少し多いようです。
いずれにしても、休日ではない残りの何日間は会社に通勤して業務を行うそういうフォーマットだと思います。
では、コーラルワークの働き方コーラルワークのフォーマットはどうかといいますと、基本的に会社には出社をしません会社への出社が前提とはなっていません。私たちの会社も完全週休2日の会社ではあるので業務自体は週5日行っています。
しかし、出社はしないけども年に4回だけ、どこになるのかは固定していませんがどこかに集まって社員全員が時によっては社員の家族も集まってリアルなミーティングをします。別の言い方をすると年に4回だけ出社義務がある会社だと言って良いでしょう。そしてもう一つは、社内の大事な財務状況をその時に社員全員で確認し議論する。これがコーラルワークのフォーマットです。
まとめますと次のようになります。
1.本社、支社のような特定の場所への出社を前提としない。
2.年に4回行われる社員総会への出社義務がある。
3.社員総会では、会社の財務状況を社員全員で共有するとともに理解を深める。
この三つをコーラルワークのトリニティとして掛川で確認したのでした。
2022/05/29 Coral episode3
> 僕はこの受容力のようなものこそがコーラルワークの真髄……。
エピソードというか補足です。
この受容力ですけど、一方で排他力も必要なんだろうなと思います。
受容性と排他性は一対です。排他的っていうとなんだかマイナスのイメージですけど、自分たちの働き方が固まっていけばいくほどそれに合わない人も出てくるはずです。受容力を高めていくためには排他力も高めていく必要もあるんだろうなと。
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コメント一覧 (4件)
夫から「この記事を読んだ方がいいよ」とすすめてもらい、興味深かったので思わずコメントしちゃいました。
沖縄の学校教育では、実はサンゴについてはほとんど勉強しません。お恥ずかしい話、この記事を読んで初めて知ることも…。
最近沖縄ではサンゴの移植が話題になってます。メディアを通じて、サンゴの大切さをもっともっと多くの人に知ってもらえるよう、頑張りたいと思います!
マナさんコメントありがとうございます。そうですか、意外と地元では地元のことを教えなかったりしますよね、それが当たり前すぎて日常的すぎて教えるまでもないだろうってことになってたりします、いわゆる灯台もと暗しでしょうか。私も働き方を通じて考えているうちにサンゴに出会い、ますます今興味が湧いてきたと言うところです。
マナさんにこの記事を読んだ方がいいよなんて勧めてくれる旦那さんに僕も会ってみたいなー。そして沖縄の良さやサンゴの素晴らしさをガンガン語り合いたいもんです。
別の角度から説明します。
「コーラルワーク」とは一人ひとりの生活が豊かであることを目的とした働き方です。
こんなことを言うと、では生活が主で仕事が従であるのかと言われそうですが、そうではありません。
主も従もありません。
あなたはあなただけが豊かであることで豊かであると感じることはできないと思います。 あなたの周りの人や社会が豊かであって初めてあなたは豊かであると感じるはずです。
だから私たちは社会を豊かにするために働きます。
それがコーラルワークです。
コーラルワークの名前の由来ともなった沖縄のサンゴ礁。
思いもしなかった大量の軽石が流れ込んでいる沖縄本島北部。 映像で見ると海底は真っ暗。光がなければサンゴ礁は 光合成ができないのでこのまま続けば影響が出てくるのでは。
しかし、火山の噴火は自然の繰り返しの1つにしか過ぎません。やがてはこの軽石も形を変えて消滅していくの でしょう。今回のことは改めて文明の脆さを感じさせてくれる自然の力の大きさです。