激高しているように聞こえたらしい

フウセントウワタ

フウセントウワタ-風船唐綿(Cotton bush):花言葉は、秘めた力。この花は蜜を多く蓄えているため、その重みにより下向きに開花する。そして、その蜜めがけて多くの昆虫がやってくる。そうした様子から、多くの人や物を引き寄せる能力を持っていることがイメージされ、花言葉の「秘めた能力」ということになったのだろう。
人は誰しも多くの能力を持っているがそれを開花させる力はその人の正に努力という力だろう。
しかし、言い訳はその努力を停止させ、一時的に保身だけをはからせてしまう何ともつまらない行為だ。

先週の午後、僕の電話応対が、その相手に対して激高しているように聞こえたらしいです。

思い当たる節はこうです。

僕をご指名の電話がありました。そういうのってたいてい営業の電話です。どこでどうお調べになったかどうか分かりませんが、きのわきさんお願いしますと電話が掛かってきます。

ー うちでは、受付で電話に出た子には、色々詮索しなくて良いです、相手の名前も電話番号も何も聞かなくて良いです。そんな電話受付のイロハのようなことはどうでも良いです、きのわき様いらっしゃいますでしょうかと言われたら、ハイって言って直ぐに変わったら良いです、君たちの貴重な時間をそんなことに使わなくて良いですから、直ぐにかわってくださいと伝えています。

­­ー このやり取りの時間が勿体ないです。**さんいますかって言われたら直ぐに変わったら良いと思います。どちら様でしょうか?どのようなご用件でしょうか?なんてきいてる時間がもったいないです。用があるから電話してきてるんだし、相手はもう一度同じことを話さなきゃなんないですから、本人にさっさと変わって用件聞いたら良いと思うんです。

ー だけど、世の中的には電話の作法みたいなのがあって、はい、どちら様でしょうかなんて、それに準じて皆さんやっちゃいます。申し訳ないけど、しょうもないですね。

さて、案の定、営業のお電話でした。転職サイトの代理店と思しめきところの男性営業マンから、求人に困っていらっしゃいませんか、今、注目の転職サイトがあるんですが、ちょっとお時間よろしいでしょうか、ほんのちょっとのお時間で良いので、ご説明に上がらせていただきたいのですがという内容でした。

僕は、電話で内容聞くのも面倒だし、どうせ皆さん同じこと言うし、どうでも良いから、いつでも良いから来てくださいって答えます。その代わり来られた時に僕いなかったらごめんねって。ただ、遠方から来られるとなると、こっちは何も考えていないわけだから、それはちょっと負担なのでどちらからいらっしゃるんですかとだけ尋ねます。

そうすると、今回のお相手は大阪からと。

うーん、大阪と言っても広いなー、大阪のどこですかと尋ねると、

ちょっとしどろもどろになりかけて、

え、大阪ですと。

だから、大阪の何処ですか?

はい、ちょっとお待ちくださいませ。

え、お待ちくださいって、正確な住所教えてって言ってるわけじゃないですよ。あなたがいつも乗り降りしている駅があるでしょ?

はい、済みません、まだ入社間もないものでして。

え、入社間もないってどれくらいですか?

2,3ヶ月です。

ー ここら辺から僕の語気は少し荒くなってます。

2,3ヶ月ってどういうことですか? 会社に入って2ヶ月と3ヶ月って全然違うでしょ? 新人の方であれば入社37日目ですって言えるぐらいが本当じゃないですか? 2,3ヶ月って余りにいい加減ではないですか。それに入社初日であっても大阪のどこかぐらい答えれるでしょ。

……。

もしかしてテレアポの方?

いいえ、実は入社1ヶ月でして。

そう、入社1ヶ月。で、どうして住所が言えないのですか?

済みません、毎日忙しくて、住所覚える時間がなかったもので……。

なんで、そんなつまらない言い訳するの?

いえ、言い訳ではなくて…。

君さ、自分の会社の住所だよね? そこ面接受けて入ったんだよね? なんでそういうこと言うの? 言ってどうなるの?

はい、あの今は東京から電話しておりまして。なので、

…、あのな、東京から電話してようが何してようが、自分の会社の住所を知らないってことあるの? それ言って、何になるんだよ。それで君は何を守りたいんだ? 自分の何を証明したいんだ?

本当は、もっと入社浅いんです…。ちょっとお待ちくださいませ。

…おおさかし、きたく…。 こちらからお伺いさせていいただきます。きのわき様は、いつがご都合よろしいでしょうか。

おい、ちょっと待ってくれよ、そういう問題じゃないだろ。君は、何の目的で今の会社に入ったの? 俺に電話するために入ったんじゃないだろ?

はい、済みません

ー ここがどうにも通じていない感じがし、どんどん自分の語気が荒くなっていくのが分かりました。言い訳することの虚しさ、非創造性をいくら訴えても通じない。それで遂には、語気強く悪態をついて電話を切ってしまいました。

こうやって文字にしてもあまり伝わらないと思います。端で聞いていた人は、なんできのわきさんあんなに怒ってはるんやろと映っていたと思います。

唯々(ただただ)、虚しくて怒ってしまっていました。まだまだ、人間できてないなって思います。だけど、もう一度同じような電話が来たら、やはり怒ると思います。

いくら言い訳しても、それで守れるのはホンの一瞬の自分のしょうもないプライドだけやぞ、目を覚ませ、知らないときには知らないって言える勇気を持てって。

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