NHKBSでカンヌのグランプリ作品もがりの森をやっていた。
BSを観ていたら突然始まったので驚いた。まだ劇場公開もしていないのになぜなんだろうという疑問はおいといて。
直ぐにカメラワークに引き込まれた。
細かなぶれはドキュメントとフィクションのちょうど狭間のような味を出していた。カメラと演技者がともに対話しているようだった。
全編を覆う奈良の緑はカメラフィックスで、人物のフォローは手持ちでと微妙なタイミングで切り替えられていた。
主演のうだひできさんの素人演技はどうなんだろうか。カンヌの賞にはここらへんはマイナス要因にはならないのだろうかとかってのは作品についての疑問。
で、これもおいといて。
この映画、葬り方が主題なのかな。
何が苦しいといって親しい人と別れることほど辛いものはない。仏教にいう愛別離苦。人にはもがりの時間が必要なんだと思う。
葬にもいろいろあるようで火葬、土葬、風葬、鳥葬、最近では宇宙葬なんてのもあるけど。そういえば「千の風になって」って歌がいまだにいろんなところで流れてきますが、これなんかは鳥葬を彷彿とさせますね。
”わたしのお墓の前で泣かないでください” ”そこにわたしはいません” ”眠ってなんかいません” ”千の風に 千の風にのって”
死んだら死んだ人と別れなければいけないけど、そう簡単には割り切れない。自分の気持ちをどこにもっていったら良いのか。この宙に浮いてしまったかのような、支えてもらっても、手を差し出されても握り返すことさえ困難な状態。別れるための心の整理を助けてくれるのが「葬」なんでしょうね。
「死んでなんかいない」って考えるのも苦しみから解放されるための一つの方法かもしれないけれど、どうしてもそれを受け入れなければならないとき、人はいろいろと葬のスタイルにこだわるのかもしれない。
拘るのは現世の人であって亡くなってしまった人にとってはどうでも良さそうだけど。
でも僕なんかも焼かれるのは熱そうだなとか、土葬で腐っちゃうのはゾンビみたいになってしまうとやだし、鳥葬は痛そうだとか想像してしまう。
意識のない状態をさえ意識してしまう人間って不思議だなー。
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