
今日のアサカイで退職代行の話が出たんだけど。
今日のアサカイ記事ピックで、退職代行の話が出ました。ずーーっとずっと気になっていた退職代行会社。その運営会社の代表が逮捕されたという報道です。気にはなっていたけどなぜ逮捕されるのか意外でした。
でも去年の秋にはこんな記事も既に出ていました。
「退職代行モームリ」を家宅捜索、報酬目的で弁護士紹介疑い 警視庁
日本経済新聞 2025年10月22日
退職代行サービスを運営する会社が、報酬を得る目的で利用者を弁護士に紹介していた疑い。弁護士法が禁じる、いわゆる非弁提携にあたるのではないかということで警視庁の捜索を受けたという記事です。そこから今回の逮捕に至りました。まだ捜査の段階です。有罪が確定したわけではありません。事件そのものの是非はこれから司法が判断することです。
わたしが引っかかったのは、そこではありませんでした。
素朴なところで、自分は使わないだろうなぁだし、この会社でそんなことを使う人が言ったら嫌だなぁです。そして全般に変な社会になっちゃったなぁです。
代わりに「辞めます」と言ってもらう商売
東京商工リサーチによれば、弁護士法人以外で「退職代行」を営業品目に掲げる会社は、少なくとも50社。そのほとんどが設立10年以下で、去年1年だけで27社が新しくできています。そして、退職代行の業者から連絡を受けたことがある企業は7.2パーセント。大企業に限ると15.7パーセントだそうです。6社に1社です。
お金を払って、代わりに「辞めます」と言ってもらう。その商売が、これだけの規模で成立している。
なぜ自分で言えないのか。あるいは、言っても辞めさせてもらえないのか。
僕はここに引っかかったんです。これは代行業者の問題である前に、会社の側の問題ではないのか。辞めると言い出せない空気を作り、言われたら引き止め、何ヶ月も手放さない。そういう会社があるから、その隙間に商売が生まれる。
利用者は20代が6割、30代が3割弱だそうです。若い人ほど、自分の口から言えずにいる。
「もう翌日でも退職していいよ」と言ったことがある
もう何年も前のことですけど、辞めたいと言ってきたメンバーがいました。入社してまだ半年でした。
僕は「もう翌日でも退職していいよ」と言いました。怒ったわけでも、感情的になったわけでもありません。
もちろん最初は引き止めましたよ。でも聞いてみると、もう1社から内定をもらっていて、本命のところからももらえそうだと言う。引っ越しも考えていると言う。それなら引き止めてもどうしようもないな、と思ったわけです。だったら1ヶ月待つ意味はない、今すぐ新しいところへ行ったほうがいい。
本人は困惑していました。すぐ辞めるとお給料が入らなくなる。それも困るというので、結局しばらく在職してもらったんですけどね。
就業規則には「1ヶ月前」と書いてある
私たちの会社の就業規則にも、たいていの会社と同じように、退職する場合には1ヶ月前に申し出ることと書いてあります。
多くの会社ではこれがもっと長い。2ヶ月、3ヶ月と辞めさせてくれないところもあると聞きます。引き継ぎがある、後任が決まっていない、繁忙期だから。理由はいくらでも出てきます。
でも僕は、これは違うなと思っているんです。
辞めると決めた人にやることはない、と思う。
退職までに何ヶ月と期間を設けるのは、どうも古い感じがするんです。人を労働力とだけみなしているように思えてしまう。
その間にやり残した仕事を終えなさい、ということなんでしょう。でも、もう辞めたいと思っている人、転職したいと思っている人は、そんなものはとっくに終えているはずなんです。転職の気持ちなんて、もう何ヶ月も前から持っているのが普通でしょう。
それなのに、まだ1ヶ月、まだ2ヶ月と会社に来させる。これは本人にとっても会社にとっても意味がないと思うわけです。
辞めると決まった人に、やることはないんです。ないと思うんです。
会社が人に投資をするのは、未来が一緒にあるからです。それだけのことです。未来が別々になると決まったのなら、投資する理由も引き止める理由もそこで終わっている。
2年前のアサカイでも、同じことを話していた
社内の記録を掘り返していて、2023年12月のアサカイでこんな話をしていたのを見つけました。
会社で、その組織で働くというのは、何らかの思いがあって働くわけで、会社を辞めるときにはその多くの理由はその思いがなくなるといいますか、別の会社あるいは転職とかという形で別の会社のほうに思いが強くなった場合だと思うのです。
そうであれば、それは早く転職できた方が良いわけですね、これはお互いにです。未来が一致しない人が給料のためだけに在籍しているのは、とてももったいないなって思います。
自分で言ったことなのに、すっかり忘れていました。2年経って同じことを思っているので、これは僕の中でそれなりに芯のある考えなのだろうと思います。思いがあって働く、というところが僕にとっては出発点なのでしょう。
変えるか、降りるか。
僕は船のたとえが好きです。
乗っている船が自分の目指す方向と違う。そう思ったとき、選べる道は二つしかありません。会社を変えるか、自分がその船を降りるか。
この覚悟をみんなが心の中に秘めておいてくれたら、「他責」は起きないと思います。文句を言うだけの人にはならない。変えるか、降りるか。そのどちらかを自分で選ぶ人になるのではと。
そして向かう港がもう違うのだと分かったのなら、早く別の船に乗ったほうがいい。辞める人にはいつもそう言っています。残りの給料とかそういうところは面倒みるから大丈夫だよと言って、できるだけ早く辞めてもらっています。
追い出しているように聞こえるかもしれません。でも、逆なんだとここは強弁させてもらいます。
在籍したまま何もできない時間を過ごさせることのほうが、その人の人生に対して失礼だと思うのです。データにはもうアクセスできない、アサカイにも出ない、それで席だけがある。その時間にいったい何の意味があるんでしょうか。
もし私たちの会社に退職代行から電話がかかってきたとしたら、それは辞めようとした人の問題ではありません。私自身の一つの敗北だろうと思います。
※ 法律の話も少しだけ添えておきます。期間の定めのない雇用契約について、民法第627条第1項は、退職を申し出てから2週間が経過すれば契約は終了すると定めています。ただし、就業規則の「1ヶ月前」という定めが、これで直ちに無効になるわけではないようです。引き継ぎや後任の確保に必要な範囲として、1ヶ月程度であれば合理的だと判断される傾向がある。一方で、半年や1年といった極端に長い予告期間は、退職の自由を不当に制限するものとして無効とされうる。——そういう整理になっているらしいです。この記事は法解釈の話ではなく、私がどう考えているかという話です、もちろん。
