Altruism 利他主義。
アルトゥルィズム、最初の”A”にアクセントあるようですが、発音むずいです。
フランスの経済学者であり、思想家であり、作家。
ジャック・アタリの説く利他主義を最近目にすることが多くなったような気がします。このコロナ禍渦巻く世界で人々があることに気づき始めたからではないでしょうか。
私たちの会社では既に丸二ヶ月以上全社員が在宅勤務で滞りなく業務を続けています。
いや、続けさせていただいていると言ったほうが的確です。
私たちはパソコンの前でウィルス禍からは隔離された状態で滞りなく仕事をしています。
パソコンが持ち込むのはせいぜいデジタルのウィルスであり、それもあってはいけませんが、リアルなウィルスが入ってくることはありません。
その隔離された状態で仕事をするために、その従業員の子供を預かってくれる人がいます。自分の子供を預かってくれる人がいるからこそ在宅勤務ができています。
しかし、その子どもを預かってくれてる人たちはウィルスの脅威にさらされています。
在宅勤務している私たちの家に必要なものを配達してくれる人たち、そのおかげでわたしたちはいつもと変わらぬ生活ができています。
しかし、その配達してくれる人たちはウィルスの脅威にさらされています。
食事の後や生活の中で出てくる残飯やゴミ。
それを収集してくれる人たち。そのおかげで私たちはゴミまみれになることはなく文化的な生活をおくれています。
しかし、その人たちはゴミ袋に忍び込んでいるかもしれないウィルスの脅威にさらされています。
そうやって、どうしようもなく外に出て行かざるをえず、残念なことに感染してしまった人たち。その方々の手当てにあたってくれている人たちがいます。
その人たちもまたウィルスの脅威と恐怖にさらされています。
私は経営者としてそうした人々の働きによって社員を感染のリスクから守ることができ、私たちは仕事を続けさせていただいてる。
今回のウィルス禍は私たちを閉鎖空間に押し込み、孤独感や閉塞感を増大させました。
しかしながら、一方で、その空間を維持してくれている人たちへの想いも増大させているような気がします。
アタリ氏は利他主義は究極の自己中心主義だと説いています。
他者を感染から守ること(利他)が、感染の拡大を防ぐことになり、そのことが結局自らの感染を防ぐこと(利己)になる。
この視点を自分の身の回りから国と国の関係に広げても同じことが言えます。ある国で感染が収束していけば、そこでは経済活動が活発化し次に他国を救済することでより自国の経済をより活発化させようとします。他国の利益が自国の利益になるのだと教えてくれます。
国連憲章を持ち出すまでもなく、利他主義は極めて論理的な自明の理を見せつけてくれています。
世の中みんなが繋がってる、そう思わざるをえない日常が続いています。
このコロナ禍が去った後、この感覚を覚えた人類は、ダーウィンもきっと驚くような強い進化をしているような気がします。
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