今日はブログに投稿したくなるようなことが多い前半の一日です。
昼前に法人向け保険代理店の方が来られたので、お話をしていました。テレアポでやってこられた方なので、あまり期待もせずにお話していたのですが、これが意外と面白かった。この方の人生も面白かったので、お昼一緒にどうですかと昼を取りながら話しの続き。
この方、新卒で、或る通信系の企業に就職されました。今ではホールディングスになっていて誰でも知っている上場企業です。今から15年近く前の話なので、その頃はブラック企業なんていう言葉もなかったのだけど、今思うと正にブラックだったそうです。
一年365日休み無し、終業は午前2時3時が普通。業績が悪いと灰皿が飛んで来て、先輩からの制裁が始まる。
当時も今も労基署は存在するので、その待遇から当然そこに駈け込む方は一定数いらっしゃいます。
そうすると、労基署の方が来られてサーバーのチェックが始まり、終業時間の異常さがみつかり、未払い賃金が計算され会社はそれを払う。
しかし、それが過ぎても会社の対応や体質は変わらない。
そして、また例によって労基署の立ち入りがあり、未払い賃金を払う羽目になる。
これが継続的にやってくるわけですが、その方はその未払い賃金をプチボーナスとして期待して待っていたのだそうです。
こんな体質だから、100人入社しても95人までは辞めていったそうです。
だけど、業績は着実に伸びていって、上場を果たし、この方も池袋の支店長にまでなった。
つまり、会社は未払い賃金が発生し、入社しても95人は辞めていくのだということを想定して会社を回し、売上を伸ばし、業績を上げていったわけです。
当時、人を人とも思っていない会社に最初は抵抗や反抗もあったけれど、皆が新卒なので、それが当たり前のようになっていたそうです。社会問題化まではしなかったけれど、今ではあり得ない状況であったとも話されています。
この話しをお聞きしたとき、会社とは何だろうかと思わずにはいられませんでした。人を人とも思わない会社はダメです。しかし、それを考え過ぎ待遇を厚くしていった結果、事業資金が回らなくなり、潰れていった企業をいくつか目にしました。会社もそうだけど、景気の悪いときであれば、会社が倒産したら従業員もその家族も路頭に迷います。
一方で、この企業は、自身も上場を果たし、多くの今では優良企業と言われる企業を傘下に多く持ち、有能な人材を多く輩出しています。待遇は悲惨であっても、業種にもよりますが、このやり方はとてつもなく労働生産性は上がります。つまり、競争力はとてもあるのです。
法律違反を犯し、多くの従業員に精神的ダメージを与えた企業。いわゆるブラック企業。しかし今も繁栄を続けているのです。
今の、働き方改革の中で、このような企業姿勢はあり得ないことです。今ではこの企業もコンプライアンスを守り、昔の人は企業名を聞くと眉間に皺を寄せる人もいますが、今の新入社員は何のことだか分からないようになっています。
ただ、こういうことは、時代をこえてやってきます。
その時、問われることは何のために会社はあるのかです。
その問いに対しては、社会規範を守り、自らの倫理観に従い行動し、自らは足るを知ることによって充足していく、これかな?
とかって話しをしながらランチは終わりました。
保険の話しなどは全くしなかったので、営業のこの方には大変申し訳なかったのですが、多分当人もそこまで期待はされていなかったと思います。
きっとそうですよね、**さん。
シーユーアラウンド。